豊胸バッグとがんの関係
乳房バッグを挿入している女性の一部に、頻度はかなり低いのですが、悪性リンパ腫(リンパの悪性がん)になることがあると数年前から海外で指摘されてきました。
☞豊胸バッグでリンパのがんが発生する問題
そして、今年になり日本国内でも数件の報告があり、豊胸バッグを製造しているアラガン社は、日本においても医療関係者に、この豊胸バッグ製品を使っての乳房再建手術手術を中止するよう呼びかけました。
結局は、自主回収を要請され、今回の勧告で、実質的に乳房インプラントによる保険診療での乳房再建は一時的に中断されました。
乳房インプラントが保険診療で承認されて以来、日本では、年間約6500件程度行われています。
日本で乳がん後などの乳房再建を目的に保険診療で承認を受けている乳房インプラントは、アラガン社製品のみです。この豊胸バッグは、美容を目的とした豊胸手術でも使われてきました。
今回の豊胸バッグが、健康保険で認められたのは2013年で、この当時からすでに、海外では数年前から豊胸バッグを挿入した女性たちが不調を訴えたいたひとが多ったようです。FDA(アメリカの厚労省に当たる機関)のHPには、患者さんの不調を訴えるコメントがたくさんありました。
そんなで保険診療で認めて大丈夫なのだろうか?と、当時のぼくのブログに残っています。豊胸バッグが支障を来す問題を解決をしないで、当時厚労省が認めたのは、罪深いものがあります。
雑感
生理食塩水の手術をしていた当時、仰向けになるとどうしても「お山」が2つという不自然さがなんとかならないものかと思っていた時に、アメリカでシリコンバッグ発売が解禁になりました。コヒーシブ・シリコンが主流になり、その対抗馬としてCMCがフランスから販売。なぜか欧州では、CMCは販売中止だった経緯があります。
それなのになぜ日本ではOKだった?なのに、こぞって日本で手術していたのはなぜ?日本は実験台か?
当時はすべて鳴り物入りで発売された豊胸バッグを使って手術はしたものの、今になってみれば、どれもいっしょで、取りにくかったり、実は身体に悪いのでは?なんてことになってしまいました。
今後も、今はいくらいいと言っても、実際にのところ10年経ってみないとわからないのが実情でしょう。
だって、今発売されているものは、クスリでいう治験などはやっていないですし(少人数ではやっているのかも)、身体に入れてみて数年も様子を見て販売しているわけではないですからね。。
そして、なぜか、豊胸バッグ除去するひとは、「昨年入れたんですが・・・」という直近のひとは誰もいません。
最低、3,4年は経っています。
直近で調子が悪く、取り出すひとはやったところで取ってもらっているのでしょうか。
裏を返すと、数年経ってしまうと、やってもらった医者もいないし、そんなことあったっけ?みたいな感じで対応が悪くなるのでしょうか?また、術後のやりとりが矛盾して、不信感も増すような印象も受けます。
現在、乳がん後の乳房再建に豊胸バッグ(種類は限定されている)を使うことができました。健康保険の適応を受けることができます。(2013年7月から)
乳がん後の乳房再建で豊胸バッグを入れたひとたちも、今は大丈夫でしょうけど、10年もすると破損したりと豊胸トラブル合併症も出てくるのでしょう。これは、おそらく美容で行ったひとと同じ経過を辿ります。現在乳がん後の再建(美容ではなく)として、豊胸バッグを入れているドクターに聞く機会がありましたが、今後、豊胸トラブル合併症がどの程度起き、どのようにたどるかわかっていない感もあります。
美容手術で、豊胸バッグを入れた経験、そして、その後の経過を意外にわかっていないのです。
乳がん後の再建時にも、術後10年したらどうなるか?などは、はっきりした説明はしていないのでしょう。もしかして、「半永久的」とかいまだに説明しているかもしれません。
今後の豊胸トラブル合併症のときどうしたらいいか?など、厚生労働省はなにもコメントしてません。そして、破損時の手術点数などが詳細に記載されていません。
今後の見通しを立ててないことがわかります。おそらく、マスコミ、世間の流れからの後押しで、早くに乳がんの豊胸バッグを使えるようにと、仕方なく健康保険でできるようになったのでしょう。
患者さんにとっても、今はボリュームを出すことが重要であるので仕方がないことだと思います。ただ、入れたことによって、「心配の種、入れていることのストレス」が芽生える可能性もあります。
現状は、乳がん後の豊胸バッグも、「光と影」があるので、医師患者ともに十分な理解を持ってもらいたいと思います。
豊胸バッグのトラブル合併症、10年後はどうなっているのかもある程度見据えおいた方がよさそうです。
※このブログを記載したのが、2014年(ブログ男子禁制・美容整形医の裏窓日記に記載)になりますが、やはり乳がん後の豊胸バッグもトラブルが多そうですね。とくに海外は次々にトラブルが報告されていますよ。
ただ、当時の状況としては、乳房を失った女性がもっと安く乳房再建ができないかと、厚労省にごり押した経緯もあっての承認でしたから仕方がないのかもしれませんよね。
☞問題の豊胸シリコンバッグ自主回収、手術中止のお知らせ(アラガン社)
/////////////////////////////////////////////////////
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
にほんブログ村