「女性で身長が10㎝高くなるごとに、がんのリスクが約16%上昇する」と少し衝撃的なことが発表されました。
高身長とがんのリスクとの関連性は、以前より研究がされていますが、今回はより多くのがんの種類について、さまざまなライフスタイルや社会背景を持つ女性のデータが検討されました。
20世紀に人類の平均身長が伸びたことが、がん発生率の変化になにかしらの影響を及ぼしていることを示しています。
イギリスの研究グループがMillion Women Studyの参加者129万人を対象に身長とがんの発生率との関連性について検討した結果の報告です。
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約9年の追跡調査で、9万7000人ががんを発症した。解析の結果、10種のがんでは、10㎝の身長増加ごとに有意なリスク上昇を認めた。
10種のがんは以下のとおり:結腸、直腸、乳房、子宮内膜、卵巣、腎臓、中枢神経系、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、白血病
10㎝の身長増加当たりのがん発生率は、社会的経済地位、その他の個人特性による有意な影響は受けなかった。今回認められたすべてのがんと身長の関連性は、世界各地(欧州、北米、オセアニア、アジア)で同様の関連性があった。
「高身長とがんリスク上昇との関連は、さまざまな種類のがんや異なる人種において共通してみられることから、ひとの成長期の段階での共通した基礎的機序の存在が示唆される」という。
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身長は、成長ホルモンレベルや遺伝的要因の他に、食事、小児期の感染症などの環境的要因に規定される。身長は変えられないし、高身長が心疾患などの他の疾患リスクを低下させることも示唆されています。
「がん発生予測因子として、今後は成人後の身長よりも栄養状態、心理的ストレス、幼児期の疾患を探す必要がある。そのためには、小児を長期間追跡して評価することが必要になろう」と締めくくっています。
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