乳がんの外科手術は、がん組織を摘出し、乳房を少しでも残す「温存術」とがん組織と広範囲に乳房全体(乳輪・乳首を含めた乳腺を全体的に取り除く「全摘出術」とがあります。
乳房温存術は、全摘出術に比べて、予後があまり変わらないということが証明されて、今まで温存術を主流としてきました。
ところが、2013年に乳房全摘後に豊胸インプラントバッグによる乳房再建術が保険適用になり、それ以来、豊胸インプラントでの再建を行う手術件数が増加し、逆転現象が起こることが予想されています。
豊胸インプラントバッグによる乳房再建術がかなり普及したことにより、今後は無理な温存術は減少し、全摘術が温存術を上回る可能性があります。
乳がんの根治と乳房の整容性の両立が可能になったことは大いに期待できるところです。生命を最優先するために全摘術を選択する人たちも増えています。
その1人が女優の生稲晃子さんです。生稲さんは、乳がんの再発を繰り返し、長い闘病生活を振り返り、右乳房の全摘手術と同時に再建術を受けるに至った心境を次のように語っています。「小さい子供もいたので、確実に生命を優先する全摘術を選択した。再建術も同時に行い、今は胸の膨らみが戻って普通に洋服が着られて幸せ。再建術を希望している患者はたくさんいると思う」。