新しい経口避妊薬(ピル)でも卵巣がんを予防
経口避妊薬(ピル)と使用する女性は、卵巣がんになりにくいという報告が以前からされていました。
今回新たな研究で、今までに広く使われている低用量エストロゲンとは異なるのプロゲストーゲンが配合された新しい経口避妊薬についても、卵巣がんの長期的な予防効果がある可能性があると報告されました。
新しい経口避妊薬(ピル)は、長くに渡り卵巣がんの予防効果を示し、内服を止めたあとも、生殖年齢の女性の卵巣がんを21%予防できる効果が続くこともわかりました。
ホルモン剤が含まれた経口避妊薬を普段から使用する女性は世界で1億人を超えるといいます。これまでに、経口避妊薬を使用する女性は、卵巣がんリスクの低下が認められたとするの研究結果が多く報告されていました。
これらの報告は高用量のエストロゲンと古いタイプのプロゲストーゲンが配合された経口避妊薬を使用していたデータでした。
そこで研究グループは、現在広く使用されている避妊薬が全体的および種類別の卵巣がんリスクに対する影響について検討しました。
研究対象
対象は、1995~2014年に15~49歳の女性約190万人。デンマークの国民データベースを用いて実施した大規模な研究で、経口避妊薬の多くが低用量エストロゲンとプロゲストーゲンの配合剤(86%)を使用。
使用期間長いほどリスク減
ホルモン剤が含まれる経口避妊薬を使ったことがない女性と比べて、現在使用中または最近まで使っていた女性、または過去の使用歴がある女性では、卵巣がんリスクの低下が認められました。
〔RRはそれぞれ0.58(95%CI 0.49~0.68)、0.77(同0.66~0.91)〕。
また、使用期間が長くなるほど低下し、1年越えより10年以上使っていた女性はリスクはより低かった結果で出ています。(95%CI 0.59~1.12)、同10年超で0.26(同0.16~0.43)、傾向のP<0.001〕。
この研究は、まだ経過観察中の研究であるため、因果関係を明確にすることはできません。ただ、今回の研究は、大規模で追跡期間も長く、結果に影響する可能性があるさまざまな因子が解析されたようです。
これらの結果から、経口避妊薬は、生殖年齢の女性における卵巣がんリスクを低下させていることが示されました。
さらに、経口避妊薬を止めた後も卵巣がんリスクの低下は継続する可能性も示唆されました。ただ、リスクが軽減する効果がどれくらい続くか不明であることも指摘されました。
プロゲストーゲンのみの成分の経口避妊薬を使用していた女性でも、卵巣がんリスクの有意な低下は認められなかったため、プロゲストーゲンのみの成分の経口避妊薬を単独で使用している女性でも同じような効果がるかどうかは、現時点では不十分だとしています。
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要約
”Association between contemporary hormonal contraception and ovarian cancer in women of reproductive age in Denmark: prospective, nationwide cohort study”
」BMJ. 2018年 9月 26;362