経口避妊薬、日本では一般的にピルと呼ばれています。
このピルを服用しているひとは、していない人と比較すると、緑内障の頻度が高いというデーターが米国の研究者から報告されました。2005~2008年の間に40歳以上の女性3406人を対象にした研究です。
※緑内障:眼圧が高くなる病態。眼圧が高くなると、頭痛や吐き気などを生じます。
経口避妊薬の内服歴と年齢、人種、高血圧の有無、閉経時の年齢、初経の年齢などの自己報告によって、緑内障との関係を調べました。
その結果、経口避妊薬を3年以上内服しているひとは、内服していないひとに比べ、緑内障が1.94倍の高さで発症しました。他の要因としては、加齢的なもの、アフリカ系アメリカ人種、そして初経が遅かったなどの要因がありました。
経口避妊薬の使用は、緑内障のリスク要因になるかもしれない・・・
ただ、因果関係が証明されたわけではないので、今後の研究に委ねるところではありますが、経口避妊薬を3年以上内服しているひとは、これらのことを考慮に入れ、定期的な緑内障の検診を行うとよいとしています。
正しく内服すれば、低用量ピルは、コンドームを使用するより確実に避妊できるメリットがあり、避妊以外の効用に、生理不順の緩和、月経困難症の緩和、子宮内膜症の治療にも使われています。
低用量ピルは、高用量ピルに比べ、副作用は少ないとされますが、それでも副作用はあります。ピルの主成分は、エストロゲンなので、血液を凝固させる作用があるために、血栓ができる可能性が、内服していないひとに比べ発症率が高いです。
今回報告された、ピルと緑内障との関係にも、網膜の血管に血栓が詰まった結果に緑内障を生じた可能性があるとしています。
参考海外医学文献
Oral Contraceptive Use and Prevalence of Self-Reported Glaucoma or Ocular Hypertension in the United States.
Ophthalmology. 2016 Apr;123(4):729-36