女性高齢出産は増加傾向に
高齢化出産が止まらず、妊娠の高齢化が年々増加しています。1985年当時は35歳以上の高齢妊娠は7.7%で,現在は31.6%でこの30年で5倍弱にまでに増加してしまいました。
当時からダウン症候群の増加が強調されてきたため、高齢妊娠では出生前診断を受けさえすれば大丈夫という風潮で、不妊症や流産によって妊娠の継続が難しくなること言われて来ませんでした。
2000年代には性感染症や10歳代の中絶の増加が問題視されました。 中学、高校の家庭科や保健体育の教科書には1994年のカイロ女性会議で提唱された「reproductive rights」や「birth control」について記載されています。
発展途上国では,女性が出産の自己決定権を持たない性の差別が深刻であり,これについて議論が行われていましたが、これらの言葉によって妊娠がいつでも可能なものとの誤解を招いた可能性もあると言われています。
女性はいつまで妊娠が可能か?
20歳代の独身女性を対象にした名古屋市立大学の調査では,「自分がいくつまで自然妊娠可能か?」という質問に対して,37%が「45~60歳」と答えたそうです。
このように小規模の調査ではありますが、日本での生殖教育の欠如が,現在深刻な結果をもたらしているともいえるでしょう。 将来医師になるための医学部においてでさえ、生殖に関する教育が行われてきません。
若いときからある病気で、薬物治療のために主治医から避妊を指導され,それをずっと何十年も守り続けてきた43歳の女性患者が「いつまで避妊した方がよいのでしょうか?」と心配になって来院してきたそうです。
このようにして、医者から「妊娠できる最適な年齢」などについて説明してあげないと、避妊をずっと続けてしまう患者さんもいるのです。 日本では1960年頃に起きたサリドマイド薬害の影響で,妊娠中の投薬指導や避妊指導が厳密に行われてきました。
しかし,ある病気を持つ女性が子どもを希望したら,その薬の選択をすることによる妊娠の可能性とリスクの情報を提供できたはずなのです。